ドラゴン 1/35 M4A4シャーマン(その1)
なぜかいきなりシャーマン系が作ってみたくなり、タミヤのM51と、ついでにM4A4も組み始めました。M51はディテールアップの点で躊躇するところがあり、8割がた組みあがったところで放置気味ですが、こちらのM4A4はもともと出来が怪しいこともあり、あまりこだわらずに組めるため、まずはこちらを完成させようと思います。
M4A1の対極にあるようなカクカクしていて冗長なデザインがなかなか味わいありますね。並べてみると車体後部の長さが際立ちます(このキット、下部車体に関しては設計ミスで実車よりさらに長くなってしまっているようですが、雰囲気重視なので今回はスルーです)。
感想としては、「やっぱりタミヤがいいわ」の一言。
最近のオレンジ箱ではDS履帯がセットされていて足回りの煩雑さはかなり解消されているようですが、問題はそういう些末なところではなくて、パーツ一つ一つが「とにかく合わない」、「なんらかの加工が必要」、といったストレスが半端無いんです。
どのパーツを接着するときでも、「ほんとにこれで合ってるんだろうか?」という不安感が拭えません。ドラゴンの中の人は一回でも自分で組み立てたうえで発売しているんでしょうか?
特に3ピース式デフカバーの「すわり」が最悪で、車体もギアハウジングも何もかもが上手く合いません。「アタリがなくて合わせにくいがどこかピタッとくる場所がある」のならいいのですが、とてもそんな次元ではなく、「なんとか強引に接着しようとすればできなくもない」というのが正直なところです。「どうせ完成したら見えなくなるんだから…」というあきらめがなければ、見えもしないところの修正で疲労困憊すること間違いなしです。
今時点でどうしてもM4A4が欲しい方は、アスカモデルの「シャーマンV」を購入されることをお勧めします。
ちなみに、自分が持っているのは緑箱のやつです。今のオレンジ箱と違って履帯がエンドコネクターまでバラバラになっていて、これだけで心がくじけそうになります。しかたがないので、割り箸に両面テープを貼り、その上に10枚程度の履板を並べてエンドコネクターを接着していきます。履板には「へ」の字形の滑り止めがモールドされていて、普通に繋げていったのでは綺麗な水平がでませんが、この割り箸法ならモールドのない面を基準に並べることができるので、各コマを水平に並べるのが簡単になります。センターガイドのあるタイプですと、割り箸を2本使うのですが、このタイプの履帯だと、1本で足ります。その分、左右のズレには気をつけたいところです。
鋳造パーツの表面にはそれっぽいモールドが施されていますが、砲塔側面のピストルポート接合部に目立つ段差ができたり、デフカバーの嵌め合わせが悪くてギアハウジングに隙間が空いたり、車体正面装甲に予備履板固定位置のケガキ線(ファイアフライ用で今回は不要)が余分だったりと、とにかくそのままで使えるパーツがないため、盛大に修正してたらそんなモールド吹っ飛びました。しかたがないので、濃いめの溶きパテをボロ筆で叩きつけて鋳造っぽい感じに表面を荒らしておきました。
そんなことより作っていて困ったのは、説明書がまったく説明書になっていない点で、まさにこのキット最大の欠点といっても過言ではありません。選択パーツのチョイスがでたらめで、塗装例と組み立て指示がまったく整合していません。説明書のとおりに作ったら絶対に塗装例のようにならないという地雷指示の連続です。
そんなわけで、まずは組み始める前に作りたい塗装例を決めてしまい、その車両の写真を探して真似した方がはるかに有益だと思います。自分はそれに気がついたのが主要パーツ接着後だったので、リアフェンダーを削り落としたり、英軍式の消火器をもぎ取ったり余計な手間がかかりました。
それ以外の箇所もなるべく写真に合わせるように製作しています。
たとえば砲塔のアップリケアーマーは必要かそうでないのか、車体側面の増加装甲はどういう形状なのか、リアフェンダーはあるのかないのか、トラベリングロックはあるのかないのか、といったあたりを調べてから向かうことをお勧めします。
成形がやっかいな部分として、車体側面の裾、サイドフェンダー用の基部が全長にわたってモールドされていますが、上下抜きでリベットをモールドするためにど真ん中にパーティングラインが入ってしまっています。これをきれいに成形するのは不可能なので、リベットごとパーティングラインを均してしまい、リベットがあった位置に0.5mmのピンバイスで穴を開けておきました。「できない工作をやろうとするよりも、できる範囲でそれらしい工作を選ぶ主義」というやつです。座金なんだから表現としてはこっちの方が正解だと思います。ちなみに、今回は元のリベットの位置に穴を開けましたが、実際はフェンダー基部の真ん中ではなく下よりに開いているようです。







そうこうしているうちに、車体がほぼ組みあがりました。履帯のみ、塗装のために取り外し式にしています。ところで、下部車体と上部車体を分割するなら、ドラゴン式よりタミヤ式の方が嬉しいですね。ドラゴンのこのキットは、下部車体側にサイドの張り出し部の底板がくっついて成形されているのですが、これだと上部車体と下部車体を分けて製作していても、クリアランスは完成後にいじっているのとほとんどかわらず、履帯の取り回しや塗装がすごくやりづらいです。一方、ほぼ同時進行で作業していたタミヤのM51はサイドの張り出し下面に塞ぎ板を接着する方式なので、下部車体はメインハルに足回りがついただけの状態で、360度どこからでも履帯にアクセスすることができます。基本塗装や汚し、たるみ表現など、いろんなことがやりやすい構成になっていて、構造としてはこちらの方が断然やりやすいです。
ここからはメモ
後部雑具箱…基部ごとオミット(ビルマのM4A4で装備した写真が確認できない)
消火器…伸ばしランナーで取附穴を塞ぐ(箱絵では真っ赤に塗られて存在感あるが、実車写真では装備していない)
機関室上部の接着ガイド穴…後端あたりのものはハンマー用以外を伸ばしランナーで塞ぐ
レンチ…ハンマー直後に接着指示があるが、実際の装備位置にあわせて上面から後面へ移設
つるはし用接着ガイド穴…間隔がデタラメなので伸ばしランナーで塞いで正しい位置に開け直し
車体上面後端の左右インテーク…取附穴が大きすぎるので埋めて開け直し(そのままだとパーツを接着しても穴が見えてしまう)
車体側面増加装甲…せっかく用意されたパーツはサイズがデタラメなうえ、説明書の指示もウソ八百なので現物合わせでプラ板から切り出して接着(写真をよく見ること。この部分については箱絵の方が正しい)
サイドフェンダー基部…リベットを削り落とし、0.5mmの浅い穴を開けて座金っぽく表現
リアフェンダー…使用しない(基部はサイドフェンダーと処理を合わせるためリベットを切除して0.5mmの穴開け)
トラベルクランプ…あり・なし混在(塗装例1=箱絵の車両にはない。塗装例2にはあり。)
ホーン…あり・なし混在(塗装例1、2については共になし)
車長ハッチ…機銃マウントが2個ついてるので1個を切除(観音開きハッチとの位置関係に注意。このキットのペリスコープは一体モールドなので機銃マウントを後ろに向けた状態ではペリスコープも後ろを向いてしまう。ドラゴン製他キットで盛大に余るペリスコープ別体型ハッチを転用するのも手)
砲塔吊り下げフック…前部(防盾直後)のものは形が変でとても吊り下げられそうな形をしていないので、キットで余る不要パーツを加工して使用
砲塔側面ピストルポート…なんか位置が上すぎるような気がしたので、ガイドピンを一部削除し気持ち下げて接着(段差は黒い瞬間接着剤で埋めてなだらかに成形)
グレネード発射口…塗装例1の車両のようなそうでないような微妙な車両の正面やや俯瞰から撮られた写真をみるかぎり「なし」のよう。ただし、同一車両であるかどうかは微妙。いずれにしても、ファイアフライのように周囲に保護リング?をつけた車両は確認できないため、周囲のモールドを切除。
直接照準器…車長キューポラ直前のツノ状のパーツ。塗装例1はこれを装備し、黄色に塗装している。他の車両ではL字形の照準器(キットでは台座のみモールド)を装備したものも確認できる。今回は1を製作するため、L字形照準器の台座は削り取る。
無線アンテナ…キットでは右側の台座に穴が開いているが、実際には左側を使用するため、左側の基部に接着用の穴を開け、右側は伸ばしランナーで埋める。
後部車間表示灯ガード…内と外で足の長さの異なる逆J字状のガードが入っているが、実際には逆U字状なので、長い方の足を切り詰めて成形(キットのガードは背が高過ぎなので低める意味もあり)。やり過ぎると破綻するので、様子をみつつ程よい程度に。
操縦手、機銃手ハッチ前面の増加装甲…左右対称な台
形状のパーツが入っているが、実際には内側は垂直なので左右非対称のハの字状(たれ目状)になるようプラ板で作り直し。
車体機銃クリア用の切欠き…増加装甲の車体機銃クリア用切欠きがおかしな形状になっているので、隙間がでないよう慎重にすりあわせ。(キットは図面に描かれた機銃カバーの基部をあらわすアーチ状曲線を増加装甲板の切欠きと読み違えた模様)
機銃カバー基部…増加装甲を新造修正したため、キットのモールドは削り落として0.5mm真鍮線で作り直し。
M4A1の対極にあるようなカクカクしていて冗長なデザインがなかなか味わいありますね。並べてみると車体後部の長さが際立ちます(このキット、下部車体に関しては設計ミスで実車よりさらに長くなってしまっているようですが、雰囲気重視なので今回はスルーです)。
感想としては、「やっぱりタミヤがいいわ」の一言。
最近のオレンジ箱ではDS履帯がセットされていて足回りの煩雑さはかなり解消されているようですが、問題はそういう些末なところではなくて、パーツ一つ一つが「とにかく合わない」、「なんらかの加工が必要」、といったストレスが半端無いんです。
どのパーツを接着するときでも、「ほんとにこれで合ってるんだろうか?」という不安感が拭えません。ドラゴンの中の人は一回でも自分で組み立てたうえで発売しているんでしょうか?
特に3ピース式デフカバーの「すわり」が最悪で、車体もギアハウジングも何もかもが上手く合いません。「アタリがなくて合わせにくいがどこかピタッとくる場所がある」のならいいのですが、とてもそんな次元ではなく、「なんとか強引に接着しようとすればできなくもない」というのが正直なところです。「どうせ完成したら見えなくなるんだから…」というあきらめがなければ、見えもしないところの修正で疲労困憊すること間違いなしです。
今時点でどうしてもM4A4が欲しい方は、アスカモデルの「シャーマンV」を購入されることをお勧めします。
ちなみに、自分が持っているのは緑箱のやつです。今のオレンジ箱と違って履帯がエンドコネクターまでバラバラになっていて、これだけで心がくじけそうになります。しかたがないので、割り箸に両面テープを貼り、その上に10枚程度の履板を並べてエンドコネクターを接着していきます。履板には「へ」の字形の滑り止めがモールドされていて、普通に繋げていったのでは綺麗な水平がでませんが、この割り箸法ならモールドのない面を基準に並べることができるので、各コマを水平に並べるのが簡単になります。センターガイドのあるタイプですと、割り箸を2本使うのですが、このタイプの履帯だと、1本で足ります。その分、左右のズレには気をつけたいところです。
鋳造パーツの表面にはそれっぽいモールドが施されていますが、砲塔側面のピストルポート接合部に目立つ段差ができたり、デフカバーの嵌め合わせが悪くてギアハウジングに隙間が空いたり、車体正面装甲に予備履板固定位置のケガキ線(ファイアフライ用で今回は不要)が余分だったりと、とにかくそのままで使えるパーツがないため、盛大に修正してたらそんなモールド吹っ飛びました。しかたがないので、濃いめの溶きパテをボロ筆で叩きつけて鋳造っぽい感じに表面を荒らしておきました。
そんなことより作っていて困ったのは、説明書がまったく説明書になっていない点で、まさにこのキット最大の欠点といっても過言ではありません。選択パーツのチョイスがでたらめで、塗装例と組み立て指示がまったく整合していません。説明書のとおりに作ったら絶対に塗装例のようにならないという地雷指示の連続です。
そんなわけで、まずは組み始める前に作りたい塗装例を決めてしまい、その車両の写真を探して真似した方がはるかに有益だと思います。自分はそれに気がついたのが主要パーツ接着後だったので、リアフェンダーを削り落としたり、英軍式の消火器をもぎ取ったり余計な手間がかかりました。
それ以外の箇所もなるべく写真に合わせるように製作しています。
たとえば砲塔のアップリケアーマーは必要かそうでないのか、車体側面の増加装甲はどういう形状なのか、リアフェンダーはあるのかないのか、トラベリングロックはあるのかないのか、といったあたりを調べてから向かうことをお勧めします。
成形がやっかいな部分として、車体側面の裾、サイドフェンダー用の基部が全長にわたってモールドされていますが、上下抜きでリベットをモールドするためにど真ん中にパーティングラインが入ってしまっています。これをきれいに成形するのは不可能なので、リベットごとパーティングラインを均してしまい、リベットがあった位置に0.5mmのピンバイスで穴を開けておきました。「できない工作をやろうとするよりも、できる範囲でそれらしい工作を選ぶ主義」というやつです。座金なんだから表現としてはこっちの方が正解だと思います。ちなみに、今回は元のリベットの位置に穴を開けましたが、実際はフェンダー基部の真ん中ではなく下よりに開いているようです。







そうこうしているうちに、車体がほぼ組みあがりました。履帯のみ、塗装のために取り外し式にしています。ところで、下部車体と上部車体を分割するなら、ドラゴン式よりタミヤ式の方が嬉しいですね。ドラゴンのこのキットは、下部車体側にサイドの張り出し部の底板がくっついて成形されているのですが、これだと上部車体と下部車体を分けて製作していても、クリアランスは完成後にいじっているのとほとんどかわらず、履帯の取り回しや塗装がすごくやりづらいです。一方、ほぼ同時進行で作業していたタミヤのM51はサイドの張り出し下面に塞ぎ板を接着する方式なので、下部車体はメインハルに足回りがついただけの状態で、360度どこからでも履帯にアクセスすることができます。基本塗装や汚し、たるみ表現など、いろんなことがやりやすい構成になっていて、構造としてはこちらの方が断然やりやすいです。
ここからはメモ
後部雑具箱…基部ごとオミット(ビルマのM4A4で装備した写真が確認できない)
消火器…伸ばしランナーで取附穴を塞ぐ(箱絵では真っ赤に塗られて存在感あるが、実車写真では装備していない)
機関室上部の接着ガイド穴…後端あたりのものはハンマー用以外を伸ばしランナーで塞ぐ
レンチ…ハンマー直後に接着指示があるが、実際の装備位置にあわせて上面から後面へ移設
つるはし用接着ガイド穴…間隔がデタラメなので伸ばしランナーで塞いで正しい位置に開け直し
車体上面後端の左右インテーク…取附穴が大きすぎるので埋めて開け直し(そのままだとパーツを接着しても穴が見えてしまう)
車体側面増加装甲…せっかく用意されたパーツはサイズがデタラメなうえ、説明書の指示もウソ八百なので現物合わせでプラ板から切り出して接着(写真をよく見ること。この部分については箱絵の方が正しい)
サイドフェンダー基部…リベットを削り落とし、0.5mmの浅い穴を開けて座金っぽく表現
リアフェンダー…使用しない(基部はサイドフェンダーと処理を合わせるためリベットを切除して0.5mmの穴開け)
トラベルクランプ…あり・なし混在(塗装例1=箱絵の車両にはない。塗装例2にはあり。)
ホーン…あり・なし混在(塗装例1、2については共になし)
車長ハッチ…機銃マウントが2個ついてるので1個を切除(観音開きハッチとの位置関係に注意。このキットのペリスコープは一体モールドなので機銃マウントを後ろに向けた状態ではペリスコープも後ろを向いてしまう。ドラゴン製他キットで盛大に余るペリスコープ別体型ハッチを転用するのも手)
砲塔吊り下げフック…前部(防盾直後)のものは形が変でとても吊り下げられそうな形をしていないので、キットで余る不要パーツを加工して使用
砲塔側面ピストルポート…なんか位置が上すぎるような気がしたので、ガイドピンを一部削除し気持ち下げて接着(段差は黒い瞬間接着剤で埋めてなだらかに成形)
グレネード発射口…塗装例1の車両のようなそうでないような微妙な車両の正面やや俯瞰から撮られた写真をみるかぎり「なし」のよう。ただし、同一車両であるかどうかは微妙。いずれにしても、ファイアフライのように周囲に保護リング?をつけた車両は確認できないため、周囲のモールドを切除。
直接照準器…車長キューポラ直前のツノ状のパーツ。塗装例1はこれを装備し、黄色に塗装している。他の車両ではL字形の照準器(キットでは台座のみモールド)を装備したものも確認できる。今回は1を製作するため、L字形照準器の台座は削り取る。
無線アンテナ…キットでは右側の台座に穴が開いているが、実際には左側を使用するため、左側の基部に接着用の穴を開け、右側は伸ばしランナーで埋める。
後部車間表示灯ガード…内と外で足の長さの異なる逆J字状のガードが入っているが、実際には逆U字状なので、長い方の足を切り詰めて成形(キットのガードは背が高過ぎなので低める意味もあり)。やり過ぎると破綻するので、様子をみつつ程よい程度に。
操縦手、機銃手ハッチ前面の増加装甲…左右対称な台
形状のパーツが入っているが、実際には内側は垂直なので左右非対称のハの字状(たれ目状)になるようプラ板で作り直し。
車体機銃クリア用の切欠き…増加装甲の車体機銃クリア用切欠きがおかしな形状になっているので、隙間がでないよう慎重にすりあわせ。(キットは図面に描かれた機銃カバーの基部をあらわすアーチ状曲線を増加装甲板の切欠きと読み違えた模様)
機銃カバー基部…増加装甲を新造修正したため、キットのモールドは削り落として0.5mm真鍮線で作り直し。
- 関連記事
-
- ドラゴン 1/35 M4A4シャーマン(その2)
- ドラゴン 1/35 M4A4シャーマン(その1)
- タミヤ 1/35 T-55エニグマ(その3)
スポンサーサイト
テーマ : 模型・プラモデル・フィギュア製作日記 - ジャンル : 趣味・実用
コメント
コメントの投稿
« ドラゴン 1/35 M4A4シャーマン(その2) l Home l タミヤ 1/35 T-55エニグマ(その3) »